レターズアルパック206号
「兵庫県林業会館」をCLTで建て替える
戦後に植林した杉が利用期を迎えています。都市の木質化に向け、兵庫県林業会館では、県産材CLT(Cross Laminated Timber)を活用した建替事業を進めています 。
防火地域に5階建て木造ビル
最近では、CLTを活用した建築物もいくつか事例が出ていますが、本プロジェクトでは、防火地域に5階建ての事務所ビルを床も含めて主要構造部をCLTで建てるという点に特徴があります。1層はRC、2~5層でCLTを使う計画です。
CLTは比較的新しい材料のため林野庁、環境省等の補助等も活用し、床の2時間耐火の実証試験や竣工後の断熱検証も計画しなからプロジェクトが進められています。
CLTを見せる/使用木材量
検討の中で、様々な課題が明らかになりました。事務所の大スパン確保もその一つですが、一番は、せっかく使うCLTを見えるようにできるかどうかです。一方で、CLTを(鉛直力を受ける)構造として使う(木材量を増やす)と耐火のため隠す必要があり、トレードオフの関係で、ジレンマになっています。
プロセスを透明化して普及・啓発を図る
実施設計・施工については一括発注プロポーザルを行い、審査が先日行われたところです。審査過程では先の二択が議論され、結果的には、CLTが見え普及性の高いハイブリッド構造の提案が選定されました。
また、プロポーザル前には、設計者だけでなく、森林・木材関係者も参加し、本事業を題材に五十田博氏(京都大学生存圏研究所)、金箱温春氏(㈲金箱構造設計事務所)、安井昇氏(桜設計集団一級建築士事務所)の各先生のご講演による勉強会を3回開催しました。今後も見学会等を開催する予定です。
アルパックは事務局として、基本計画~基本設計、補助申請、プロポーザル手続き、実施設計・施工監理・モニタリングの技術支援等を行っています。
※本業務は、三浦の他サスティナビリティマネジメントグループの畑中、中川、建築プランニングデザイングループの原田、塗師木も担当しています。
※本事業の詳細は事務局ホームページに記載しています。(http://hyougo-clt.com/)
レターズアルパック206号・目次
特集「スポーツ」
- 特集「スポーツ」/レターズアルパック編集委員会
- 自治体によるスポーツ施策と働き盛り世代のスポーツ事情/石井努
- 地域に愛される王道のチームスポーツ「バレーボール」/竹内和巳
- ヒルクライム大台ケ原since2001~その日、村は自転車一色となった~/原田稔
- 自然を体感できる自転車の魅力/伊藤栄俊
- しま山登山のススメ~絶海の孤島「青ヶ島」を訪ねて~/中村孝子
今、こんな仕事をしています(業務紹介)
- 「文化芸術立国」に向けた西日本の取組/江藤慎介
- 空き家をまちづくりの資源・きっかけに~マルチステークホルダーで対応していく空き家対策~/戸田幸典
- 住宅地の外構にみられる景観資源を調査しています/水谷省三
- 加西市に来たれ外国人観光客~地方都市におけるインバウンド観光の可能性を探る~/片山麻衣
- 「景観読本」ができました/中井翔太
- 地元の企業や産品を見て、知って、自慢しよう/高田剛司
- 「兵庫県林業会館」をCLTで建て替える/三浦健史
きんきょう&イベントのお知らせ
- これまでの50 年への感謝とこれからの50 年に向けた決意「アルパック創立50 周年記念フォーラム」を開催しました/創立50 周年記念フォーラム実行委員長 中塚一
- 地域に寄り添って地方創生を考える(番外編)/森脇宏
- 「イノベーション・キュレーター塾」を卒塾しました/江藤慎介
- チャレンジャー求ム-村ではたらく・つくりだす座談会&体感合宿プログラム-を開催しています/中川貴美子







