レターズアルパック206号
「景観読本」ができました
執筆者;都市・地域プランニンググループ/中井翔太
景観づくりにおいて、望ましい建築デザインのあり方があらかじめ定まっているような地域は殆どありません。読者の皆さんの中には日頃、そのような問いに悩みながら建築設計や関連する業務に携わっておられる方も少なくないでしょう。
「周辺のまちなみと調和のとれた建物となるよう努めてください。」みなさんはこの非常に曖昧な要求に対し、どのように答えられるでしょうか?
今年の10月に大阪市の景観計画が改訂されました。市域を市街地特性に応じて、詳細に区分し、よりきめ細やかな景観形成を図るという趣旨です。アルパックでは、この改訂と景観計画に関する届出マニュアルである「景観読本」づくりをサポートさせていただきました。
大阪市の「景観読本」は、建築物を設計する敷地の特性や周辺景観の読み解き方、景観形成方針を踏まえたコンセプトメイクの例、景観形成基準の解釈例などを丁寧に紹介しているのが特徴です。
とてもお節介な内容ですが、大阪市の市街地は多様で、目指す景観像が明確でないことから、景観形成における具体的な方向性と定量的な配慮事項を示すことが困難です。そのため、景観計画には、前述のような抽象的・定性的な配慮事項(景観形成基準)が散見されます。抽象的・定性的な基準についてはその解釈と設計への落とし込み方に一定の幅が生じるため、参考例を通じて基準に込めた意図を示すしかありません。
この「お節介」は、単に基準の遵守を求めるだけでなく、、設計者の方々との対話(協議)の中でその敷地にふさわしい景観について考えていきたいという大阪市のスタンスを表しています。景観計画の協議の際に限らず、皆さんが大阪の景観について考えたり、お話をする機会にも役立つ内容になっています。是非、一度手に取ってみてください。

この混沌の中でいかに建築すれば良いのか
レターズアルパック206号・目次
2017年11月発行
特集「スポーツ」
- 特集「スポーツ」/レターズアルパック編集委員会
- 自治体によるスポーツ施策と働き盛り世代のスポーツ事情/石井努
- 地域に愛される王道のチームスポーツ「バレーボール」/竹内和巳
- ヒルクライム大台ケ原since2001~その日、村は自転車一色となった~/原田稔
- 自然を体感できる自転車の魅力/伊藤栄俊
- しま山登山のススメ~絶海の孤島「青ヶ島」を訪ねて~/中村孝子
今、こんな仕事をしています(業務紹介)
- 「文化芸術立国」に向けた西日本の取組/江藤慎介
- 空き家をまちづくりの資源・きっかけに~マルチステークホルダーで対応していく空き家対策~/戸田幸典
- 住宅地の外構にみられる景観資源を調査しています/水谷省三
- 加西市に来たれ外国人観光客~地方都市におけるインバウンド観光の可能性を探る~/片山麻衣
- 「景観読本」ができました/中井翔太
- 地元の企業や産品を見て、知って、自慢しよう/高田剛司
- 「兵庫県林業会館」をCLTで建て替える/三浦健史
きんきょう&イベントのお知らせ
- これまでの50 年への感謝とこれからの50 年に向けた決意「アルパック創立50 周年記念フォーラム」を開催しました/創立50 周年記念フォーラム実行委員長 中塚一
- 地域に寄り添って地方創生を考える(番外編)/森脇宏
- 「イノベーション・キュレーター塾」を卒塾しました/江藤慎介
- チャレンジャー求ム-村ではたらく・つくりだす座談会&体感合宿プログラム-を開催しています/中川貴美子







