アルパックニュースレター173号

特集

密集市街地の解消のための第一歩としての公園整備計画ワークショップ

執筆者;大阪事務所 中塚一・西村創・羽田拓也

模型を使ったデザインゲームの様子
模型を使ったデザインゲームの様子

 平成22、23年度の2ヶ年にわたり、寝屋川市の萱島東地区において、市街地の整備改善につながるまちづくり計画等の策定をすることを目的として、国の「まちづくり計画策定担い手支援事業」を活用し、萱島東地区まちづくり協議会まちづくり専門部会のお手伝いをさせていただきました。
萱島東地区は、道路や公園などの都市基盤施設が未整備なままに、昭和40年前後に建てられた木造アパートや文化住宅などが建ち並ぶ密集住宅地区であり、住環境の改善を目指し、昭和50年代から、住民と行政が協働でまちづくりを進めてきています。
今回のまちづくり調査では、住民主体で十分に話し合い、『向こう・三軒・両隣 あいさつから始まる安全安心のまち』をまちの将来像とし、(1)主要生活道路の整備や燃えにくい、地震に強い建物への建替え促進などの『道路や避難路、建物に関する事項』、(2)まとまった緑の空間の整備や小さな緑を増やすなどの『公園や緑に関する事項』、(3)防災に対する地域力の強化や知り合いを増やすなどの『地域活動に関する事項』の3つの事項を将来像実現のための基本方針としました。
今回の公園整備計画ワークショップは、この3つの事項の1つの『公園や緑に関する事項』として、市で老朽住宅の解体の際に取得を進めていた土地で公園の整備を具体化するものとして企画しました。ワークショップには、整備される公園敷地の隣接した方や周辺町会の関係者に加え、まちづくり調査にも協力いただいた摂南大学の学生の方々にも参加していただき、全3回のプログラムで実施しました。
ワークショップでは、(1)敷地および周辺環境がどんな様子なのか?の再確認、(2)公園でどんな活動をするのか?を意識した模型でのデザインゲーム、(3)具体的な計画図面と模型を見て話し合っていた内容が反映されているのか?の確認と、各回明確なテーマを設定し、実施しました。
特にワークショップの中では、整備された後に、公園をどのように管理していくのかという点について、活発に議論がなされました。「住民が誰も管理をしないのなら、緑はいらないのではないか」などの意見も出る中で、最終案では、市と住民とが協力していくという形で、シンボルとなる桜を配置するなど、非常に実りのあるワークショップとなりました。
近年、密集市街地の再整備をお手伝いさせていただいている中で、社会情勢や行政の財政状況が緊迫するなどの様々な要因により、道路や建物の整備については、建替え更新時に合わせた様々なルールにより、段階的に整備を誘導する方法が主体となってきています。その場合、すぐに整備、改善が進まないことが多く、いつになったら良くなるのだろうかという声もよく聞かれます。そのような中で、計画された公園については、今年度、整備が進められる予定となっており、住民の方にも分かりやすい形で、具体化されるので、今後の密集市街地全体の整備改善に弾みがついていけば、よいのではないかと感じています。

アルパックニュースレター173号・目次

2012年5月1日発行

特集「進化・深化・多様化するワークショップ」

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