アルパックニュースレター173号

東大阪によい文化ホールを

執筆者;代表取締役社長 杉原五郎

ラグビーのまち、中小企業のまちで、文化のまちづくりシンポ

暮れから正月にかけて、東大阪の花園ラグビー場で高校生や社会人の大会が毎年開催されています。東大阪は、文句なしにラグビーのまちです。また、東の大田区(東京都)に対して西の東大阪は、中小企業家たちが連携して人工衛星まいど1号の打ち上げに成功するなど、中小企業が集積するものづくりのまちとしても有名です。 このような東大阪で、4月22日の午後、シンポジウム「ひと・まち・文化 育てるホールを」が開催されました。近鉄奈良線八戸ノ里駅から南へ歩いて10分ほどのところにあるユトリート東大阪には、80名を超える市民が集いました。

老朽化の著しい市民会館と文化会館

東大阪市の市民会館と文化会館は、永和の駅前にあります。築45年の旧耐震構造のため、震度6強から7の地震で倒壊する危険があるとされていますが、平成21年度には、市民会館は年間32.7万人(稼働率55%)、文化会館は7.4万人(同35%)がそれぞれ利用しています。ちなみに、野田義和市長は図書館との併設を含めた建て替えを約束しています。

3人のパネリストの発言

シンポジウムには、3人のパネリストが登場しました。最初に、三代目都山流尺八奏者で大阪音楽大学講師の星田一山さんは、邦楽奏者の立場から演奏家が演奏する喜びがわくような文化ホールへの期待を熱く語られました。
続いて、近畿大学教授として舞台芸術を教えてこられ、日本演劇学会副会長でもある菊川徳之助さんは、芸術や文化は人間を幸せにするツールである、文化をつくる人と観る人を同時に育てていくことが大事と強調されました。
3番目のパネリストとして発言の機会を与えられた私は、文化・芸術によるまちづくり(創造都市、クリエイティブ・シティ)について、最近の世界的潮流と日本の各都市での取り組みを紹介し、今回のシンポジウムは、文化のまちづくりをめざす東大阪でのキックオフとなるものとその意義を強調しました。また、文化のまちづくりを進めていくうえで、地域をまるごとよくしていくという視点をもつこと、知恵と情根と社会的使命感を結びづけること、市民と行政が協働していくことが、それぞれ大切であると問題提起しました。

よい文化ホールを求める熱い市民の思い

会場からは、NHKホールの副支配人、親子劇場にとりくんできた若いお母さん、環境まちづくりや東大阪のブランドづくりを進めている中小企業経営者、地域のまちづくりを経験してきた市民や元市職員など、多彩な方々から東大阪によい文化ホールをつくり育てていこうとの思いが語られました。
今回のシンポジウムを企画し、コーディネータをされた鈴木良先生(東大阪文化懇話会代表)の満足そうな顔が印象的でした。

アルパックニュースレター173号・目次

2012年5月1日発行

特集「進化・深化・多様化するワークショップ」

ひと・まち・地域

きんきょう

まちかど